私は食の熱中小学校とは別に、世界一の美食都市、スペインのサンセバスチャンにある美食倶楽部に倣い、代々木にキッチンを借りて「日本ガストロノミー協会」というコミュニティを運営しています。でも、食の熱中小学校の生徒さんもきっと料理を作って会話を楽しむことが好きだろうと思い、このたび試験的に食の熱中小学校美食倶楽部イベントを行うことにしました。好評ならレギュラー化したいと思います。ぜひ、ご参加ください。

校長 柏原光太郎

座学:4月24日(水)19時 (株)内田洋行CANVASにて
講師:高橋博之先生 (株)雨風太陽 代表取締役
テーマ:「都市と地方をかきまぜる」
都市のスーパーで野菜を買って、地方の作り手を想像することってないですよね。地方と都市は分断しています。そして首都圏では故郷がない人が増えています。私は東日本大震災を機に「関係人口」という考えを見つけ、故郷がなければ創ればいい、と故郷創りのきっかけを提供してきた。「雨風太陽」はそういう会社です。東日本大震災がなければこの会社も事業もありませんでした。

2050年に日本は1億人、つまり今から2000万人以上減るそうです。東京は単身世帯が4割を超えるという、日本の近世以来これまでになかった時代を迎えています。それなら僕らの会社は2050年に2000万人の関係人口を生もうと思う。減ったうちの、3人のうち1人が住民票を2つ持ち地方と都市を頻繁に往来する社会になるなら、実質的な人口は減ってもむしろ社会の活動が増すのではないかと考えます。二拠点に住民登録ができ行政サービスを受けられるようにして、人のスキルの流通をして行きたいです。
食べるって、味覚と嗅覚だけじゃなくて脳みそも使っています。事前にどういう情報があるかどうかで味は変わります。僕らが普段使っている食材は一体どこの誰が作っているか?を知っては消費すると食卓の会話も変わります。
新しい自分の可能性に気が付いたり、違う人へのリスペクトがあって、異質なものが混ざることで生まれるものがある。これを震災のときだけじゃなくて、日常からやったらいいのではないかと思って始めたのが、2013年の7月に創刊した「東北食べる通信」です。
地方は今後自立して自分で稼いでいかなければいけないのですが、これは役場が苦手なことです。ここは民間の出番。自治体が民間と一緒に自治してゆく時代だと思います。民間にも地方の自治、自立という志が大切です。
都会は人間が作った世界ですが、田舎は神様が作った世界に人が住まわせてもらっている。それなのに田舎は都会を目指すといって東京の背中を追いかけてきた。地方には自然をメンテナンス維持している貴重な人たちがいるわけです。
生きることは食べること、食べることはつくること、つくることは体を動かすこと。頭でっかちばかりの都会だけでは行き詰る。身体を動かして自然と共に生き、生かされている地方と迷って来た都会をまぜ合わせる。これが私の言う、地方と都会を「かきまぜる」です。食を通して地方と都会を繋いでいきます。
能登半島地震直後から被災された生産者がいる能登に入り、炊き出しをしました。金沢という食の豊かな地域は能登半島の食材でもっています。相互依存の関係という事を忘れてはなりません。これからも長丁場ですが能登半島の支援を継続します。
私たちが日々挑戦している事と熱中小学校や熱中小学校体験ツアーが目指しているものとはとても似ています。ぜひ皆様と共に進んでいきましょう。


4月24日には第2期の入学式が行われ、生徒さんの新入生代表 春木由利子さん、在校生代表 丸亜紀さんに校長より入学証書が手渡されました。

Tour1: 三重県多気町・伊勢市
引率:柏原光太郎校長
食べ物の神様を祀る「外宮」の参拝から始まる三重県多気町のツアーでは、数少ない特産松阪牛の肥育農家である多気町前村地区の松本畜産さんで松阪牛の歴史から特産松阪牛とは何かを学びと肥育現場である牛舎の見学ツアーそして実食をしました。そして1500年以上の歴史を持つ多気町丹生地区では、「農村継承」をテーマにする農村バイキングまめやで昼食をいただきながら、季節をいただき、地産地消というだけでなく、農村料理の味や食材を守り続ける事で農村風景の維持継続20年目を迎えた”まめや”を体感いたしました。

参加者の声:竹下大学さん
「遠足」という言葉は、大人を感傷的にする特別な力を持っている気がします。
どこか「初恋」にも通じるような。
さて、遠足(現地実習ツアー)にはじめて参加してきました。
直接の動機は、松阪牛の生産現場を知りたかったこととVISONに泊まれるからでした。それから、いままで参詣したことがない伊勢神宮が行程に組み込まれていたことも、この遠足は自分のために企画されたと思い込む理由になりました。
とはいえ、1泊2日65、000円~(伊勢までの交通費は別)という料金に、即断即決できなかったのも事実。「10万円分の価値はあるんだろうか?」「ちょうど忙しい時期にぶつかるんだけど」「期待外れに終わったら嫌だなぁ」等々、ネガティブな感情も正直うまれました。貴重な時間とお金の無駄遣いはしたくありませんからね。
でも最後の最後は、「この機会を逃して後悔するよりはマシ!」という気持ちが勝ちました。
結論から申し上げますと、「行ってよかった!」「多気町最高!」「伊勢畏るべし!」「VISONの今後は要注目!」「川原社長の伊勢茶~!」「松本さんご夫妻の特産松阪牛~!!」「北川代表のまめやのお惣菜~!!!」というような言葉を抑えきれないぐらいの気持ちになりました。
もちろん「また多気町に行きたい!」とも。
今回私たちのために時間を割いてくださった方々全員に共通していたのが、苦労をものともしない明るさと根っからの地元愛です。お話をうかがっているうちに、皆さん全員がヒーロー、ヒロインに見えてきます。その理由はきっと、皆さんが都会で生活していては滅多に出会えない清らかなエネルギーをまとった人ばかりだから。
こんな人たちを少人数で次から次へと独占できてしまうなんて。さらに、突然やってきた私たちに対してサービス精神旺盛に接してくれたうえに、本音まで語ってもらえるとは思いもしませんでした。
まさに、こころが満腹になる非日常体験、プライスレスのVIPツアーですね。
そうそう、それもこれも柏原校長がこれまでに築いてこられた関係と、食の熱中小学校への期待があって成立したことも忘れてはいけません。
「知らない世界が大好きな世界に変わる!」。
これこそが食の熱中小学校の遠足の価値だと感じました。
もしどこかの遠足に対して行きたい気持ちが少しでもあるのであれば、この瞬間に申し込むと決めてしまってはいかがでしょうか。
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Tour2: 和歌山県すさみ町
引率:黒笹慈幾先生
2024年5月11日(土)~12日(日) 1泊2日
3〜5月に最旬を迎え、すさみのブランド魚である「ケンケン鰹」を取って水揚げし、競りにかけて、その場で捌いて食べるまでの、食の裏側にある体験を丸ごと味わうプログラム。すさみという土地の風土や生業を知り、漁師の過酷な現場を直に体験し、仲買人のリアルな競りを目の当たりにする。この地でしか感じることのできない食のあり様を見て頂き、この町に住む人々の生き様に共感しながら、その食材を「食べる」ことの贅沢を味わって頂きました。1日目には、刺網漁で獲れるすさみの地魚と未利用魚について町の課題も学びながら、夜はすさみ唯一の鮨屋を貸し切り、特別コースをご堪能いただきました。

参加者の声:安嶋奈緒子さん
急遽、申し込みさせて頂いたツアーでしたが、心から参加してよかったです。
刺し網漁やケンケン鰹漁の体験、そして、現地で捌いてくださり、味の食べ比べなど、貴重な体験でした。
刺し網漁では、数種類の魚がかかった網から外すのを体験。どこから外せばいいのかわからず一苦労。 初めて聞く魚の名前(おじさん、さんのじ、ツノハゲなど)や、食べ方を教わり、ウロコ取りを体験して、試食。 それぞれに甘味があったり、食感がいいなど、意見が飛び交いました。
夜は、ロコ御用達の鮨霧を貸切で、町長、スタッフも交えてお食事会。 ちょっとした心遣いを感じるお料理に、話しも盛り上がりました。 アメリカ滞在歴の長い店主さんも親しみやすい方で、また行きたいと思わせるお店でした。
次の日、朝5時30分ロビー集合。 天気が怪しく、当日朝まで出港できるか、わからない状態でしたが、無事、ご兄弟で営む船に町長と一緒に乗りケンケン漁へ。
約1時間沖に向かい間近で鰹が揚がるのを見学。 釣れたら、すぐ締めて、水に漬け、血抜きをして、電気で冷たくした水の中へ。少しでもいい状態で、お客様に届けたいという兄弟ならでの息のあった連携作業は、目を見張ります。 高知から参加の方は、丁寧な魚の扱いに驚いていました。町長の元漁師ならではの、臨場感たっぷりなお話も伺いました。約30匹が釣れ、予定より早く帰港。漁師さん宅で捌いて皮つきで、貴重な「もち鰹」(釣ってから約4~5時間以内のもので、弾力があり、まるでつき立ての餅のような食感)を試食。
お昼は、スタッフ手作りの前日の魚の煮魚や、かめのて(甲殻類)の味噌汁、鰹の刺身、にぎりなど、カツオづくしの料理で、お腹いっぱい!
そして、すさみ漁業の競りを見学。仕組みの説明を伺うも、正直よくわからず…
その後、スタッフが用意してくださった「ケンケン鰹」の競りを疑似体験。
本物の「ケンケン鰹」が用意され、木札に値段を書いて、競り人に渡して値段の一番高い人が落札という流れ。 一番多い本数を落札した人が、鰹の冷凍品がもらえました。 皆の様子を伺いながら、金額を考え、入札で喜び、落札出来なかった悔しさ、そして笑いありで、楽しい時間でした。
元気いっぱいの笑顔のガイド(現地講師)の源口葉月さん、はじめとするスタッフの最高のおもてなしのツアーでした。次は伊勢海老の時期に、また訪れたいと思います。 食の熱中小学校に、入学して改めてよかったと感じ、関係者の皆様に感謝申し上げます。
Tour3:高知県土佐清水市・大月町・宿毛市
引率:黒笹慈幾先生
2024年5月18日(土)~20日 2泊3日
『辺境の地で暮らす人と魚と食に出会う「どっぷり高知旅」』 日本でいちばん東京から遠いといわれる土佐清水を中心にダイナミックな自然を体感、自分で釣った魚を食したり、鰤ハマチ加工を見学しました。

参加者の声:森泉麻美子さん
3日間という短い期間に「高知」が すぐにまた行きたい”心の故郷”になる 私は、5月18日(土)~20日(月)に開催された、高知県のツアー『辺境の地で暮らす人と魚と食に出会う「どっぷり高知旅」』に参加してきました。
食の熱中小学校には、第一期から参加していて、ツアーは4ヶ所目になります。 食の熱中小学校は、毎月開催される授業も本当に素晴らしいですが、ツアーにこそ、その醍醐味があると思っています。
私は現在、ベトナム料理店をひとりで経営していますが、かつては出版系の仕事をしていて、旅行ガイドブックの編集とライターの仕事もしていました。 取材で全国各地に行きましたし、個人でも旅行にはかなり行く方だと思います。食熱のツアーは、どんなツアーとも全然違います。
では、一体何が違うのでしょうか? 正味3日足らずの短い時間に、現地でアテンドしてくださる熱中小学校 のメンバーの叡智が詰まっています。「高知のことを好きになってもらいたい、知ってもらいたい」という熱烈すぎる思いがどっぷりと詰め込まれているんです。
今回訪れたエリアは、土佐清水市、大月町、宿毛市。私は父が香川県の出身ですが、四国を多少知っている人間でも頭がクラクラします。遠いんです。自力で3日で回るのは絶対に無理です。大月町の柏島では、「きみちゃん」という、ところてんと郷土料理の絶品食堂に伺ったのですが、帰宅して検索すると、高知龍馬空港から電車だと6時間半です。近ツリのツアー特集を見たら「日本の秘境へ行こう」特集に入っていました。透明度抜群の海! 日本最多1200種もの魚が集まるダイバー垂涎の海だそうです。柏島のメインは「黒潮実感センター」https://kuroshio.asia/訪問。神田優先生から「海を守るということはどういうことか」について熱のこもったお話を伺えました。
初日に訪れた宗田節の老舗「たけまさ商店」https://takemasa-syouten.com/では、宗田節について具体的に知ることができ、ワークショップも。最終日には、工程表にはなかったサプライズで「土佐の塩丸 」https://siomaru.com/へ。天日塩を作る工程をワークショップで体験しました。
そうなんです。ここまで書いて、旅のメインの釣り船について書けていません。(貸切で船を出してくださり、至れり尽くせりで釣りのアドバイスしてもらえます)。釣った魚を宿毛市のイタリアン「ポモドーロ」で料理してもらえるんです!(全11品もの極上コース&極上ワイン付き) 。お寺の参拝と住職さんのありがたいお話。移動の随所で立ち寄る史跡や、海が見える展望スポットなど、「地元の方も知らない」絶景を何回も見ることができました。
すぐにでもまた訪れたくなる思い出が詰まった旅では、いろいろ考えさせられることもたっぷりで、しかも命の洗濯もできます。
ぜひ皆さま、一度ツアーに出かけてみてください。持続可能な旅が待っています
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今後の現地実習のスケジュール
*価格、日程など変更になる場合もございます。最新情報は下記webにてご案内しております。
① 新潟県糸魚川市・富山県氷見市・高岡市 2024年6月6日(木)〜6月8日(土) 2泊3日 北陸三都(糸魚川・氷見・高岡)を巡る、能登半島地震復興支援ツアー
② 和歌山県田辺市・みなべ町 2024年6月15日(土)~6月16日(日) 1泊2日 世界農業遺産みなべ・田辺梅システムを感じるツアー
③ 宮崎県小林市 2024年6月15日(土)~6月16日(日) 1泊2日 ガハハおじさんとチーズ作り体験:小林の酪農の今
④ 和歌山県高野町・かつらぎ町 2024年7月13日(土)〜15日(月祝) 2泊3日 世界遺産 高野山で調理実習!精進料理作り体験ツアー
⑤ 福井県坂井市 2024年9月20日(金)~9月22日(日) 2泊3日 豊穣のめぐみ食材魅力ツアー
⑥ 高知県須崎市・中土佐町・土佐市・仁淀川町 2024年9月21日(土)〜23日(月)2泊3日 ローカルな食文化と魚に出逢う「どっぷり高知旅」第2弾!
⑦ 三重県伊勢市・多気町 2024年9月27日(金)〜9月28日(土) 1泊2日 三重県多気町農村ワンダーツアーごちそう留学「秋編」
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事務局より:
この食熱通信ですが、機動性、迅速性を考慮して、今回よりネットで皆さまにお届けすることになりました。拙いサイト作りで恐縮ですが、今後ともよろしくお願いします!ご意見、ご要望がございましたらページ下のコメント欄、もしくはFacebook、メールなどにて遠慮なくお寄せください。
それから現地実習。おかげ様で高評価をいただいています。是非参加をご検討ください!

「熱中通信第3号」発行:食の熱中小学校事務局(一般社団法人熱中学園内)
公式サイト:https://shoku-no-necchu.com/
Mail to:hello@shoku-no-necchu.com
