食の熱中小学校の魅力は何でしょうか? 魅力的な講師陣、熱量の高い受講生、そして現地実習での地域での交流があります。今までの生活では会うことのなかった人との出会い、今まで行くことのなかった場所、今まで味わったことのなかった体験が出来ます。そのなかで自らに発酵のような良い化学反応が生まれるはずです。食が良い「縁」を繋ぎ、良い「運」をもたらし、それに対して食を通じた「恩返し」をしていこうではありませんか。
教頭 松田智生 丸ノ内プラチナ大学副学長

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座学:1月25日(水)18時30分 3x3LabFurture
講師:川嶋亨先生 一本杉川嶋 店主
テーマ:「食を通して地域と共に歩む」
今日は、「食を通して地域と共に歩む」というテーマになります。能登の七尾で料理させていただいています。大阪と京都で修行し2016年に七尾にUターンして和倉温泉の旅館で料理長を務めた後、2020年7月に七尾市の一本杉通りで「一本杉川嶋」をオープンしました。

震災前の店は国の登録有形文化財で築94年のモルタル造りのいわゆる看板建築です。元々は万年筆さんだったそうで、万年筆のような窓で遠くから見ると人の顔のようなユーモアな建物で当時はすごく賑わっていたと聞いています。料理は98%能登の食材を使っていて、器も能登の作家さんの器や骨董もの、古いもので300年前の器だとか金沢の大樋焼の茶道具を使ったりしていました。朝は大体4時、5時に漁師さんから今日こんな魚獲れたよと電話をもらい、信頼しているので二つ返事でそれもらうよと言ってそこから準備が始まります。港に6時ぐらいに着いて魚を獲ってきて、その後畑に行って野菜を獲って、その後市場に出て帰ってくる。これが僕の朝のルーティンです。店はエンターテイメントな調理場だと言っています。料理が美味しいのは当然で、わざわざ能登七尾までお越しいただくのですから楽しさも大事で、ライブ感を大事にしています。僕らの営業も2時間から2時間半、コンサートと同じで最後に何かすごく高揚感に包まれてまた来たいと思ってもらえるのを目指しています。カウンター8席の店なので、毎日お客様と向き合っています。料理を作るだけではなくお客様との会話を楽しんでいただいています。料理の後ろにいるたくさんの方々のこと、どんな人がどんな場所でどんな思いでこの野菜を作っているのかを伝えます。ただ食べるのではなくこんな人が一生懸命作った野菜なんだと噛み締めながら食べると、より野菜を、美味しく、甘く感じると思うんですよね。だから、凝り過ぎたり足していく料理というよりも、食材の持ち味を最大限に引き出す料理を日頃から心がけています。JALの機内食を担当させていただいてたり、ミシュランやゴ・エ・ミヨ、前回ご講演されたジャパンタイムズの末松さんの賞など、ありがたいことにいろいろ受賞させていただいています。自分だけでなくスタッフそして地域の仲間と共に獲った賞だと思っています。本当に地域の皆さんのおかげです。

今日来ていただいている、僕が絶大に信頼する農家さんで「能登やまびこ」の稲葉さんのような生産者のもとに行くのが僕の日課です。従業員や、うちの子供とかも連れていって一緒に田植え体験をしたりします。鳥居醤油店の女将さんは一本杉のお母さんだと思っています。3年前に自分が発起人になって立ち上げた「うますぎ一本杉」という11月3日の文化の日に開催する食のフェスタですが、震災がありましたが昨年も開催しました。七尾市は約5万人の都市ですが、2022年は約1万人の 来場がありました。石川や北陸を代表するミシュラン星付きのシェフから地域のレストラン、商店の方まで幅広く出店いただいていて、トップシェフも地域の人も共に取り組んでいるすごく楽しく美味しい、美味すぎなイベントです。自慢ではないですが私の店は商品のお目当ての方が朝7時頃から並び始めて11時のオープン時には200人ほどの行列になり開店後すぐ売り切れてしまってご迷惑をおかけしました。それぐらい盛り上がるイベントです。ぜひ皆さん機会があればお越しください。

Uターンしてみて、能登は人口減少や自然環境の変化、自然災害など一口で語れないぐらい問題が山積みだとわかりました。でも自分たちの後が続かなければ何も解決できないと思い、子供たちの食育に力を入れさせてもらっています。地域の食に興味を持ってもらうことが地域に関心を持つことに繋がると思っています。郷土愛を育むような食育です。普段高くて来にくいうちの店に親子で来ていただき、親子で会話しながら召し上がっていただいて地域の良さを再発見してもらう親子レストランというのもやっています。
ここからは2024年1月1日以降の話です。どこもこんなふうに壁が崩れて道路に飛び散っている状態でした。お店の中も、修行時代からコツコツ集めて大切にしていた器がそこら中に飛び散って愕然とした記憶があります。料理人にとって器は命の次に大切なものといっても過言ではなく、僕もすごく器が大好きだったので本当に悲しかったですね。建物がもう捻れて傾いてすごい状況でこれ見るとまた思い出して苦しくなりますね。レストランの横の左側の建物、ここに実はオーベルジュの計画をしていました。能登や七尾は遠いですからやはり宿泊がすごく重要で、2024年の4月オープン予定で進めていましたが、地震が起きてしまいました。全壊してやむなく解体、幻となり借金だけが残りました。解体したらレストランの建物の貴重な側面が約90年ぶりにむき出しとなり見えるようになりました。
地震後1月3日から4月までずっと炊き出しをしていました。僕は当日能登にはおらず奥さんの実家の大阪にいたのですが、各方面に電話して情報を集めていく中で、ひどい状況で食べ物もすぐなくなって困る人が出てくるだろうとわかり自分ができることはやはり料理しかないと思いましたので、すぐにチームを立ち上げて炊き出しできる準備を進め、2日に大阪で食材や道具を買い込んで車に詰め込んで3日の朝一に帰り、すぐに炊き出しにかかりました。七尾駅の向かいにある商業施設の一角を借りて急遽キッチンスタジオを作りました。メンバーは地域の料理人や星付きのシェフ、農家さん、料理以外でもミュージシャンや主婦の方や農家さんなど30人ぐらい本当にたくさんの方の力をいただき、多いときで1日千食作っていました。みんな頼もしい仲間で今でも繋がっています。地震で辛いことはたくさんありましたが。地震があったからこそ繋がった人もいて、悪いことばかりじゃないかなと思えるようなそんな出会いでした。

食材も本当に全国からたくさん送っていただきました。作ったものを各避難所に届ける配食をやりました、実際に避難所に行って、避難所で求めているものを出すようにしていました。ずっと体育館に避難していると今日が何日だかわからなくなっている。それで1月7日には七草風あんかけチャーハン料理を出して、料理を通じて楽しんでもらうことを大事にしました。本当に皆さん食事をする時だけが楽しみだったと言っていました。
これからの挑戦についてお話しします、一本杉通りの自分の店の向かいにある震災で何とか持ちこたえた3つの建物ですが、オーナーさんたちは全部解体すると言ったんですが、ここが解体されると町の景観が失われてしまうんじゃないか、一本杉川嶋の価値も下がってしまうんじゃないかと思い、思い切って私購入しました。景観を守るためというよりはもとからこの一本杉通りを食の通りにするというビジョンを描いていましたので、正に今それを突き進めるんだという思いです。店名を一本杉川嶋にしたのも、一本杉を銀座や祇園のようなブランドにしたいという思いからです。実際に、オープンして3年半、自分のお店があったから初めて七尾に来たよ、とか一本杉で知ったよ、という声をたくさん聞いて、やはり町に核となるレストランがあると、地域を知ってもらう、来てもらうきっかけになるんだなとすごく体感しました。食というのは人を呼び込む力があるんですね。
今、店を失ってから料理を作る場所、厨房がなくて生きた心地がせず毎日辛いです。だからまず自分が料理をする環境を整えようと、2番のところにセントラルキッチン、シェアキッチンを作り、隣の3番をアンテナショップ兼レストランにします。これですぐに料理が作れます。アンテナショップは地域を発信する場所にしたいと思っていて、地場産品のものや今まさに自分が開発中のレストランの商品や地域のものなど地域の人たちを雇用して微力ながらも地域経済を回すことをやりたいです。
他にもやりたいことはたくさんあります。うどん屋さんやおにぎり屋さん、お菓子屋さんなど、高級店ばかりでない食の通りですね。食で人を呼べる町を作りたいです。そして、幻になったオーベルジュの再チャレンジをしたいと思っています。
お客様にまず七尾に足を運んでもらうことがすごく大事だと思っています。そして七尾に宿泊していただいて翌日は奥能登に足を運んでもらう。微力かもしれないけれどそういうことをやっていきたいなと思っています。

この先なんですが、現状を言うと正直めどが立っていません。まったく見通しが立っていなくて、まだ2年、3年はかかるんじゃないかと思います。地震で壊れたものを直すだけでも大変なんですが僕のお店の建物は文化財なのでなかなかそれを直せる専門的な職人さんもおらず木材も人件費もかなり高騰していて、当初の予定の2倍、3倍すると言われています。その辺の予算組みもなかなか苦労していて大変なんですが、嘆いてばかりでもだめなので、今作ろうとしているアンテナショップ兼レストラン、セントラルキッチンで何とかまた頑張ろうと思います。「食の熱中小学校」の皆さんの修学旅行として来年あたりにお越しいただけたら嬉しいなと思っています。その機会がありましたらぜひお願いしたいと思います。



①北海道十勝 2025年1月24日(金)〜26日(日) 2泊3日
レポート:鈴木珠子さん
十勝の食と文化に触れるスタディツアーに参加しました。
「食べることは単にお腹を満たすだけではなく、幸せをつくること」というツアー開催の
想いが、まさに体験を通じて実感できる旅でした。地域の食文化や人々の想いに直接触れ
ることができた3日間の様子をレポートします。
ツアー初日は、「十勝が丘ワイナリー」 の見学からスタートです。誕生したばかりで、ま
だ認可前のワイナリーをご案内頂き、オープンまでのご苦労と熱い思いに、早くも感動。
続いて訪れたのは、日本初の「共同チーズ熟成庫」を持つ 「十勝品質事業協同組合」。モ
ール温泉で磨いたチーズ作りの熟成庫を装備万全で見学しました。熟成庫の中に入ること
ができるのは、大変貴重な機会とのことで、もちろん私もはじめてです。
ランチでは、「大地の匠」 で、十勝牛の焼肉とともに見学したばかりのワインとチーズを
堪能して、お昼から試飲を超える量のワインを飲んでしまいました。

午後には、「前田農産食品」 で、小麦やポップコーンの大規模農場と保管庫を見学。みん
なでポップコーンの帽子をかぶるという学生に戻り、少し気恥ずかしくなるような楽しい
記念写真を撮影しました。
夜は、『マリヨンヌ』 での特別ディナー。フレンチと和の2人のシェフのコラボレーショ
ンのコース料理は、十勝の食材の新たな魅力を引き出しており、これは、東京では経験で
きない経験となりました。

二日目は、然別湖の「然別湖コタン」へ。凍った湖の上に作られたアイスバーで、自作の
グラスで朝から飲むワイン、最高です。
その後、鹿追町の新しい福祉施設 「レンガの家」 で、ランチをいただきました。子供た
ちとお年寄りの居場所が共存する取り組み、なんともいえず温かみのある場所でした。
午後は、帯広畜産大学で十勝熱中小学校のみなさんと一緒にかせや先生、三宅先生による
特別授業に参加しました。広大な大学内をご案内いただいた後に、 学内の日本酒蔵、「碧
雲蔵」の見学とショッピング。
夜には、十勝の食材を使った試食交流会が開かれ、十勝食材での多国籍料理を楽しみまし
た。生産者や他の熱中小学校のみなさんとも、おおいに盛り上がる交流会でした。
最終日は、「雪中運動会」 に参加。雪の中を走って、ジャンプしてと、このツアーならで
はの経験。芽室町の高校生や子供達、寒さに負けず、元気でした。

その後、大友牧場で牛たちへのエサやり体験や、ご自宅での手作りランチを楽しみました
。運動した後でお腹をすかせて食べた豚汁やチーズ、本当においしかったです。
ツアーの最後は、中札内村にある 「冷燻工房」 を訪れ、燻製のしくみを解説頂きながら
の工場見学とナッツ詰め放題のお土産付きで、終了となりました。
3日間とは思えない充実の内容をアレンジいただいた亀井さん、名ガイドの力丸さん始め
とする十勝の皆様、一緒にツアー参加した皆様、本当にありがとうございました。旅から
帰った後も、このご縁を引き続きよろしくお願いいたします。
最後に十勝の旅で持ち帰ったお土産の一覧(運動会の参加賞含む)をのせておきます。
十勝ブドウ園 オトプケ浪漫 山幸2023
十勝ラクレット モールウォッシュTOKACHI PRIDE
上川大雪酒造 生板粕
上川大雪 KEG DRAFT SAKE 量り売り300ml
明治十勝カマンブル―
十勝冷燻工房 燻製醤油、十勝魔法のマヨネーゼ、十勝魔法のナッツ様
レンガの家 手編みの靴下とチェアー・カバー
いわたファーム 菊芋のすけ 茶
芽室ゴールデンアップルサイダー
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②新潟県糸魚川市 2025年2月15日(土)〜16日(日) 1泊2日
レポート:宮内麻紀子さん

















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事務局より:
雪国では最強・最長の寒波の影響で、10年に一度の記録的な雪害に襲われました。地元の方々のご苦労は、首都圏の我々からは想像を絶するものだと思います。心よりお見舞い申し上げます。ふと気になり、「雪国の食の特徴」をAIさんにまとめてもらうと、次の3点が挙がりました。①保存性、②カロリー確保 ③体温維持。これらの諸点は、天災等に見舞われた方々にとっても重要な要素であることは、雪国の冬の厳しさの根本を表すものですね。②、③で代表的なのは鍋料理でしょうか。①には、漬物とか干物がありますが、その中でも別格は発酵食品です。これにも3つの利点があり、保存性、栄養価、うまみの向上といわれています。各地の気候風土を反映させ開拓され、そして文化にもなる発酵食品。もっともっと勉強し、食していきたいですね!

「熱中通信第11号」発行:食の熱中小学校事務局(一般社団法人熱中学園内)
公式サイト:https://shoku-no-necchu.com/
Mail to:hello@shoku-no-necchu.com
