熱中小学校の活動において、宮城県丸森復興分校はその名のとおり2019年10月の台風19号による阿武隈川の氾濫で多くの犠牲者が出た直後に開校を決意した。だがなんと翌年7月には、開校を控えた熊本県人吉球磨地区が深刻な水害に遭ってしまった。ひとよしくま熱中小学校開校には近隣の宮崎県こばやし熱中小学校を中心に現地復旧作業やクラウドファンディングで翌年の開校を応援した経緯がある。

(ひとよしくま熱中小学校開校への記録から)

ひとよしくま熱中小学校開校のクラウドファンディング支援を目的として、2020年8月に丸森復興分校はオープンスクールを開催した。まきりかさん作詞作曲、大間ジローさんプロデュース、山田直記さんの歌による応援歌 ‘LIFELONG LEARNERS’ をあぶくま荘で披露した。
(Samueru Leeさん制作)

その後、丸森町の「伝承館」で「天地人」の演奏会が行われる。
2022年3月、まだまだコロナ禍の中、なんとその週に地震が起き、阿武隈急行と町民に大きな被害が出た。開催2日前に起きたため果たして開催できるか変な予感がして、私は都内の出先からすぐに丸森町役場に行かなければならないと考えたが、東北新幹線も阿武隈急行も不通となる。
ANAの臨時便で仙台空港経由で丸森町に向かった。演奏前日の朝、町民にも地震被害があるという厳しい中で役場と話し合った結果、音楽祭を決行した。大間さんは秋田からたくさんのドラムを積んで車で山形まで来ていた。HIROさんは大雪の中、東北自動車道が不通で岩手から下の道路で来て準備していた。鍛鉄家・加成幸男さんとのコラボという面白い試みも予定されていて、加成さんの鍛冶屋作業の火入れの準備も進んでいた。結果として、この難しい状況の中、参加者全員が燃え上がった演奏会になった。
丸森町民は、東日本大震災の地震、その後の風評被害、洪水、そして再び地震と休みなく災害に緊張が続いていた。道路や住宅修繕と物理的な復興は見えてきても、失われた命や時間の空白を癒し、切り替える力をどうするか? ‘LIFELONG LEARNERS’、‘天地人’のコンサートを通じて私は真摯な人たちが伝える音楽の力を確信した瞬間だった。

2024年1月1日、能登半島地震が発生した。何かもやもやした気持ちでいた中で、まきりかさん、大間ジローさん、山田直記さんで新年会をやろうということになった。
当時、熱中小学校の先生インタビューシリーズを連載していた私は、これも対談として撮影までしてしまおうなどという軽い気分で参加したのだが、飲み進むうちに話は思わぬ方向に進展することになった。(次回へ続く)