第43章 鈴木晴彦さんの「人生の番外編―人間は漫画だ!」
鈴木晴彦さんは、1978年集英社に入社。週刊少年ジャンプ編集部に配属され、『キャプテン翼』を手がける。高橋陽一氏のこの作品は少年スポーツの世界で野球一本だったところにサッカーが台頭していく序章となった漫画といわれている。
熱中小学校の先生は高知の仁淀ブルー熱中塾の教頭先生、黒笹慈幾さんから推薦があった。
漫画はどの世代でも生徒一人一人に個別の思い出があって授業も人気で、全国の熱中小学校に出かけていただいている。
鈴木さんはそのほかにも『リングにかけろ』『すすめ‼︎パイレーツ』などの作品を担当。スーパージャンプ編集長時代には『JIN-仁-』を手がけ、マーガレット、りぼん編集長などを経て、集英社クリエイティブ代表取締役就任後、現在は同社の顧問も退任された。7月8日、和歌山県上富田町の紀州くちくまの熱中小学校での授業は「マンガ・ジャンプのパワーを読み解く~マンガの編集者って一体?、ジャンプ最大のライバル登場、キャプテン翼の成功秘話、JIN 大ヒットの秘話~」と力が入ったものだった。
作者はピッチャー、編集者はキャッチャーという例えから、サインを出すためには観客席の読者は何を求めているのかを探りつつも、作者と編集者は対立せず、時には励まし、相談相手になったり、遊んだり、引き出しを探して話し続ける。
その鈴木さんから新しい名刺をいただいた。そこには
「人生の番外編」株式会社MISAKI 代表取締役 鈴木晴彦
とある。鈴木さんの名刺には漫画の岬太郎の顔が描かれている。
岬太郎とは、『キャプテン翼』の主人公、大空翼君とゴールデンコンビを組むフィールドアーティスト、岬君だ。「僕も転校生だったから岬太郎なんです」ということだった。
クリエイティブ、そして半端じゃないメディア競争社会の中に漫画の一時代を切り開いて来たという自負がある鈴木さんが「人生の番外編」をどう設計されてゆくのか? これは興味のあるところだ。
「人生に番外編」があると考えるかはともかく、私自身は “新しいことに挑戦し続ける” ことを体力、知力で続けられる限りマイペースでいくつもりなのだが、もしお金が生まれたら若い人に投資したいことは同感だ。もしお金がなくても、若い人に自分たちの時間を使ってあげている限り「人生は漫画」チックで、人々は共感を求めて生き続けていけるのだ。
一回り若い鈴木さんがそういった境地をもう知っているのは、本当にうらやましいことだ。
老いてからでも遅すぎることはないのだから。
鈴木晴彦さんとのインタビュ―ビデオはこちら: