第14章 安部純子さんと田代剛さんの「奇跡の作り方」

 熱中小学校丸森復興分校の2023年2月19日開催の受業は笑いっぱなしの4時間だった。

 1時間目ははるばる宮崎県から来ていただいた、フリー鉄道アナウンサー田代剛さん。JR九州や各自治体の連携し、利用促進や広報を担当する。宮崎県JR吉都線の応援大使として、吉都線の活用方法を沿線の、特に高校生による活性化プロジェクトや小中学生を巻き込んで、「鉄道を通じてわが町の良さを見つけてもらう」―引き出す力の名人だ。地方の鉄道路線が残れるのは、住民の参加意識が大前提と、納得のいくお話だった。

2つの授業は、安部さんの質問しながらの登壇で「ごちゃまぜ授業」になってゆく

 2時間目は大分県から別府市役所職員の安部純子さん。

 ニューヨーク、ヨーロッパの複数の大学でジャーナリズムやコミュニケーションとアートを学び、メディア関係の仕事につく。ある時、「JAPANツアーで一番気に入った町はBEPPU!」と故郷の名前を聞いた時、‘そうだったんだ!’ と帰郷を決め、故郷の別府市に戻る。別府にある、立命館アジア太平洋大学は、学生の半数が海外、それも発展中の国が多い。ニューヨークで「ごちゃまぜ文化」を体感してきたことがベースにあった。

「成功話には興味はありません、私は奇跡を起こす担当になりたい」

 無理だろう、できないよと言われることほど、‘やったるで’と燃えるそうなのだ。

 そして別府で様々な‘奇跡’を起こしてきた。 今回のインタビューは、このお二人に阿武隈急行の無人駅「あぶくま駅」の‘ガンバッぺベンチ’に座っていただいて、と決めていた。田代さんは仙台方面からの阿武急。安部さんは、宿舎から生徒さんの車で、私は福島方面から阿武急でこの駅に集合した。

10時41分着の列車に降り立って11時13分の列車が到着するまでの間のインタビュー。
田代さんは臨時駅長さん。安部さんのシャツは ‘NEW YOKU’(入浴)CITY

 2019年10月12日の台風19号による被害で阿武急と「あぶくま駅」は甚大な被害があり復旧には1年かかった。熱中小学校丸森復興分校の生徒さんである鍛鉄芸術家の加成幸男さんが、この土地の植物をあしらったベンチを制作し、開通を記念して「あぶくま駅」に生徒たちの手で設置された。座る枕木は丸森町の被災した木と新木のくぬぎを地元に工場がある守屋木材株式会社が製材して寄贈いただき、役場の八島大祐班長によって揮毫された文章が金属加工されている。

  このベンチで一休み

  また列車に乗ってもよし 見送ってもよし

  私達は一度この駅を失って

  その大切さに気付きました。

  ぜひ阿武隈川の景色を味わってください。

  ガンバッぺ 阿武急

  ガンバッぺ 丸森

  ガンバッぺ 日本

 たくさんの方々がこのベンチに座りにはるばる来ていただく「奇跡を起こす」、期待のお二人でした。

安部純子さん、田代剛さんのインタビュービデオはこちら:

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