第10章 しなやかイズムの源流とは? 竹歳誠さんに見る ‘工夫し続ける’ 世界

 熱中小学校が始まって7年になるが、これまでになかったイベントが 2023年2月12日東京・新橋であった。 この日はとっとり琴浦熱中小学校主催で、地元の鳥取中央育英高校生徒さん4人が、‘探究’ の時間の発表会を東京新橋で行なったのだ。

開会の挨拶をする、竹歳誠とっとり琴浦熱中小学校校長先生
発表をする鳥取中央育英高等学校の生徒諸君、想像以上の参加者に緊張気味

 関係者が20人も集まるか?と事務局長の佐伯健二さんが心配する中で、なんと60人の人が会場に集まり、熱を帯びた会になったのだ。

 実は鳥取中央育英高校はとっとり琴浦熱中小学校の竹歳誠校長先生の曽祖父が明治40年に私塾として開校したのがルーツだそうだ。司会の佐伯さんはその卒業生で今は同窓会長になっている。 地元の鳥取県琴浦町の日本海に面した「花見潟墓地」に鎌倉時代の石塔2基があり、それが平安時代の陰陽師の慰霊塔だという説から高校生が建設の謎を考える、という ‘探求’ の発表会だった。活発な質疑にも立派に受け答えをして無事に終了した。

 竹歳誠さんは国土交通省や内閣官房副長官、駐オーストリア特命全権大使、現在は宮内庁の御用掛(宮家の担当)としてずっと国の中枢を役人として歩まれている人だ。いわば‘鳥取県が生んだエリート’なのだ。

 竹歳校長先生の授業は私たち民間しか知らない人間には面白い話が多い。官庁でいわゆる「課長実力、局長人格、次官は運」の流れに ‘ひょうひょうと’ おみこしに乗って行き、「給料は安くても、いくら働いても面白い」、国のためになんとかしようと必死で頑張った役人時代、データの改竄や、コロナ支援金の着服など昨今の官庁の有様には言葉もないそうだ。

 建設省、国交省という世界は、いわゆる利権の世界というイメージ、道路や鉄道、そして災害対策と、政治家とのコンタクトが多く、メディアもここぞと注目する。そのややこしい、やりとりの世界を渡ってゆく ‘しなやかさ’ はどこで育ったものなのだろう?

 佐伯さんは、元日本海新聞の重鎮で、竹歳さんがメディアの方から聞いた言葉では ‘判官びいきと、やじうま根性’ の世界の人である。この2人はいわば水と油の別世界の鳥取人なのだ。

 竹歳さんは、間違いなく ‘勉強好き’ なのだが、ちょっと変わったことをする。

 上の図は、竹歳さんが熱中小学校の授業で紹介した、都道府県別に、ノーベル賞、オリンピックで個人種目での金メダリストの数を集めた地図である。人口比にすると地方出身者が大いに活躍しているという話の材料だ。

 ご先祖様の「鳥取県という日本海地方で‘人’つくりこそこの地の宝」、と始めた教育者の血を引き継いで、勉学の量だけではない、暗記力だけではない工夫の才能を大事にしている人なのだ。

 この官僚とメディア出身のお二人が会談をする。

 地元愛では ‘水と油’ もよく溶けた。

 竹歳誠さんと佐伯健二さんの対談ビデオはこちら:

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