第72章 生駒大壱さんの「俺の企画術(笑)は無限に生成される!」

 株式会社旺文社代表取締役会長の生駒大壱さんのインタビューは、旺文社の創業者である赤尾好夫氏が昔執務室として使っていた「特別会議室」で行わせていただいた。部屋の周囲には赤尾好夫氏の叙勲関係資料や書、趣味の品等が飾られている。赤尾好夫氏は日本で初めての通信教育を始め、雑誌『受験旬報』(現『螢雪時代』)や、“赤尾の豆単”と呼ばれた『英語基本単語集』などを出版し、文化放送・日本教育テレビ(現テレビ朝日)創業への貢献や、『実用英語技能検定』(1963年/昭和38年~)創設など、出版にとどまらずに起業を重ねた「企画力の鬼」のような人だ。

「夢高くして足地にあり 良書を供して英才を育て 文化を興して以て栄える」赤尾好夫氏揮毫の社是

 生駒大壱さんは和歌山県那智勝浦の「楓旅館」で生まれ、県立新宮高校、早稲田大学政治経済学部卒業後広告代理店にて企画業務を15年。その後株式会社ジャストシステムにて事業企画・宣伝業務に従事。1999年、株式会社旺文社に転職し、デジタル事業、広告事業、出版事業の責任者を経て代表取締役社長を経て代表取締役会長になった。

 東京・神楽坂周辺には老舗の出版社が多いが、どこもデジタル化を巡っては ‘良書’ つまり ‘紙’ に執着する本家本流との戦いがあった。

 私もパソコンビジネス時代にはジャストシステムの浮川和宣ご夫妻のチャレンジ精神に接し、そこからたくさんの面白い人材が業界に輩出したことを知っている。

 デジタル時代の黎明期、生駒さんはジャストシステムで3年間自由闊達に働き、遊びまくったスキルと人脈を旺文社のデジタル事業の創業に注入する。

 この「特別会議室」は、生駒さんが、‘紙’ 中心派から「デジタル事業には一切口出ししない!」という決議を勝ち取った記念すべき場所だそうだ。

 デジタル化の波に乗って、やがてその上司無視の社員が社長になったのだから世の中は面白い。

 実は私は生駒大壱さんに頭が上がらない一件がある。

 今から3年前、「紀州くちくまの熱中小学校」の事務局長であった佐多圭一郎さんのお声がけで、和歌山県新宮市の神倉神社で毎年2月に行われる、たいまつを持った2,000人の男たちが一斉に538段ある急な石段を駆け下りる神事「御燈祭り(おとうまつり)」に参加しようということになった。神事が行われる2月6日の私の73歳の誕生日に、私ととともに駆け下りて皆で祝ってくれるという。そして熱中小学校の教諭で、新宮市にご縁がある生駒さんに私から声をかけて参加していただけることになった。

右から生駒大壱さん、大山正也さん、佐多圭一郎さん

 ところが実施の1か月前に、なんと50年振りに竹刀を振った剣道の寒げいこで私はアキレス腱損傷で松葉杖の生活になってしまった。この祭りは男性しか参加できず、男性の帰還を麓で待つ女性たちと私は寒さに震えながらその勇者の帰還を待つことになってしまった。

 そして、登山で鍛えている生駒大壱さんは得意の足さばきで息を切らさず石段を軽々と降りてきたのには驚かされた。

2022年12月3日の紀州かつらぎ熱中小学校では「俺の企画術(笑)」がテーマ。
「尖がった、人と違う企画の編み出し方」を生徒さんとワークショップで楽しんでいる

 生駒さんには、出版界と生成AIのお話を聞こうと考えていたが、前座の話が面白すぎて、あっという間にインタビュー時間が経過してしまった。

 いつでも新しいテクノロジーが出てくると、趣味も高じてすぐに煙の下に火を見つけようと松明を持って走っていく人だから、生成AIについてもぜひ蘊蓄を聞いてみたい。

 そこで、初めてのことではありますが、今回は「インタビュー本編」と、生成型AIについて語る「アンコール編」の2つのビデオをお届けすることにいたします。

 生駒大壱さんの ‘いつも人と違ったことをやれ’ のご宣託の通りになりました。

生駒大壱さんインタビュー動画 本編はこちら:

アンコール編はこちら:

食の熱中小学校はこちら:

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