第67章 清水楡華さんの「笑っていれば大丈夫!」
清水楡華さんは米国シアトル熱中小学校の校長先生だ。2018年に私が渡米中、ニューヨークから帰国しようという時にマイクロソフトに勤務する友人の連絡で清水楡華さんがシアトルでの熱中小学校開設に関心を持っているというので、急遽シアトルに飛んでお会いすることができた。もしあの時帰路変更を決断していなければ、2019年2月の開校(写真下は第1期入学式)はなかった。
そしてその秋に、日本から先生、生徒90人以上が参加するベルビュー市でのJapan Fair参加(写真下は記念撮影。前列中央左に座っている日本の着物姿の女性が清水さん)もなかったのだ。
清水楡華さんは、米国シアトル州ベルビュー市で1999年にベルビュー・チルドレンズ・アカデミーを生徒9人足らずで創設し、今では幼稚園から高校3年まで1200人が通うワシントン州で一番大きい私立学校に育て上げた。元々はご主人の仕事の関係で日本からご家族と一緒に渡米されたが、ご主人ががんにかかられて他界されてしまい、人生が一変。3人のお子さんを連れて日本に帰ることも考えたが、自分の子供達が安心して通える学校を現地に創る使命感から、踏みとどまって現在までに育て上げた。日本式の学習を取り入れた独自のカリキュラムで最先端の教育を現地の小・中学生に提供し、土曜日学校やバイリンガル児のための日本語学習プログラムにも力を入れて来た。2019年に英国のグループに売却をし、引退して今は顧問の立場にある。
ベルビュー市にはマイクロソフト社の本社もあり、多国籍な社員が集まっている地域だが、日系の子供たちには日本の文化や習慣に触れ、米国人にも日本の理解を深めてもらおうと、2017年から ‘Japan Fair’ という日本文化紹介イベントのリーダーの一人だ。また地元シアトル交響楽団の役員理事、地域総合病院の理事、Seattle Japanese Garden(シアトル日本庭園) の理事、今年100年を迎える日米協会の理事、裏千家淡交会シアトル協会の会長を務め、日本とアメリカの橋渡しにコミュニティの一体化に努めている。
「アメリカの地でビジネスをして25年。日本人の考え方、仕事に対する努力、仲間と創り上げる姿勢は十分に世界で戦っていけるものです。コミュニケーションの手段である英語さえしっかりすれば、日本の未来はもっと確かにグローバルになり、豊かになると信じます。また、同じようにアメリカの子供たちにも日本の教育のいいところをどんどん紹介していきたく思っています」と語る清水さん。米国に住む日系米国人の一人としての日本への期待と心配は人一倍強いが、一方で算数などの日本の優れた教え方を伝えようと、米国の生徒向けの教科書に取り入れて自ら教科書を編集してきた。今後はアメリカで作り上げた教育と教材を日本に逆輸入し、日本の子供たちの英語教育に貢献するために動き始めている。
さて、3年に及ぶパンデミックの結果、米国は社会教育環境のネット化が徹底された。
日本の熱中小学校では、ハイブリッド化からリアルの授業への回帰現象もみられるが、米国ではコンテンツの無料化が進み、よほどの先生でないとリアル授業は集まらないそうだ。
そうした中で再び日米の熱中小学校の共同プロジェクトが始動する。これも最初の米国での出会いのように、清水さんが東京に居ることを偶然知って、翌朝すぐにお会いできて、トントン拍子に話が進んだからこそで、ラッキーな再会だった。
その結果、2024年6月29日〜30日に開催されるJapan Fair 2024に熱中小学校が参加することになったのだ。
清水さんのモットーは「笑っていれば大丈夫!」。
楡華先生と話しているとどんな話でも聞いてくれて、一緒に夢を考えてくれる。
私も7歳の生徒のような気持ちでついつい夢を膨らましてしまうのだ。
清水楡華さんのインタビュービデオはこちら:
Japan Fair 2024 のWebサイトはこちら:https://www.japanfairus.org/
2日間で28,000人が来場した2023年のJapan Fair風景