第65章 鈴木健太さんの ‘行動する志’ に迷い無し
鈴木健太さんとは、ご本人が鹿児島県鹿屋市副市長時代にきもつき熱中小学校の授業担当でお会いした。とにかく元気が良くて鉄道好き、家族愛が強い。そして新しい人や土地に関心が強く、全国の熱中小学校にも時間が許す限り授業に出向いていただいている。
2年間の鹿屋市副市長生活からこの4月に農水省に戻って来られ、現在は農林水産省食品安全政策課課長補佐だ。鹿屋市副市長時代には、農水省の職員が協力してマガジンハウス社から出版された『農林水産省職員直伝「食材」のトリセツ』という本を献本いただいた。
この本は、農水省内でも話題の「食材」エキスパート16名が食と料理関係のうんちくを伝授するという、興味深いシナリオになっている。
全国津々浦々、農林水産物の魅力を知り尽くした食のプロ集団でもある農林水産省職員という現場主義のキャッチもなかなか良い。‘とことん食材を研究した人だけが知っている知識を集めた’ というこの本は、私の農水省のイメージを少し変えたものだった。
この本で鈴木健太さんは、米、肉、魚、野菜…などといったカテゴリーごとの本編にではなく、なんと「番外編」に登場していて驚いた。鉄道マニアの足で集めた地方の食の数々を県別に収録した、観光プラス食の体験ツアー仕立てになっている。
鈴木健太さんは、筑波大学在学時に農家でバイトをしたことから農業や食の世界に魅了され、2004年に農林水産省に入省した。北陸や中国四国地方でコメ政策の現場担当を経験したほか、食品ロスや食料安全保障、農業と福祉の連携などを担当してきたそうだ。
そして鹿屋市から帰任後も、奥さんとお子さん二人は鹿屋市住まい、ご本人が隔週で東京と鹿屋市の二拠点生活をされて6か月になる。
国家公務員としては初めてリモートワークを組み合わせながら鹿屋と東京の二拠点生活を実践し、新たな働き方を模索しているというのだ。
中央官庁のキャリアのイメージは遅くまで内閣や国会や政党関係団体との調整に追われ、机に積み上げた紙の書類に囲まれて。。という私のステレオタイプのイメージと異なるお役人が目の前に現れたのだ。 鈴木健太さんの家族は鹿屋市に居たい、といいご本人は“農村を旅する公務員”として地域のイベントに出たり、各地を巡って面白い人、熱い人と会う時間を大切にしているという。
「食の熱中小学校」を開校してから、農水関係の皆様とお会いする機会が増えた。
農業、牧畜、漁業などにおいて、役所は日に日に問題山積だと少しだがわかるようになったと感じる。政治や外交とのせめぎ合いの中で、地方の現場を見ながら苦労をしてきた彼らが消費者からの理解を得るには、大胆なリーダーシップと新しい人材が必要だ。
鈴木健太さんの働き方改革も、いずれ現在の ‘番外編’ からメインラインのシナリオになることをぜひとも期待し応援したいものだ。
鈴木健太さんのインタビュービデオはこちら: