第60章 池田めぐみさんの「高畠 ‘食の’ アスリートLab.」
元フェンシングオリンピアの池田めぐみさんは、生まれ育った山形県南陽市在住で 2023年2月に「一般社団法人YAMAGATA ATHLETE LAB. 」を起業。そして高畠熱中小学校2階の廃校オフィスに入居された。とてもたくさんの仕事をマルチでこなして超多忙だが、高畠熱中小学校の運営母体である「NPO法人始まりの学校」の理事にもなっていただいている。
池田めぐみさんの授業は、‘勝ち負けでない、スポーツの価値’ を伝えるもので、4つのスポーツのチカラ、それは 1. 覚悟するチカラ→腹をくくる 2. 準備するチカラ→段取り力 3. 絆を生むチカラ→言語化されていない絆 そして最後が、4. 生きるチカラ だ。
池田さんがロンドンオリンピックに向けて励む最中に乳がんが発見される。
「私は “乳がん”という病気で、大好きなフェンシングを引退しなければならないという困難に出会いましたが、必ず乗り越えられると信じています。なぜなら、これまでフェンシングというスポーツを通じて、様々な困難を乗り越えてきた経験があるからです。その時は確かに辛いですが、後々、乳がんになって、乗り越えられてよかったと思えるように人生を歩みたい。そんな風に考えられるようになったのは、本気でスポーツに取り組んできたからです、と。この機会だからこそ伝えられるのではないかと感じて、引退会見を開くことにしたんです」
そして今は、スポーツ選手による体の使い方のプロとして、普通の方々にそのノウハウを伝えられないかと考え、目指しているのは運動、プラス食、睡眠など、総合的な人間学科だ。
食では、高畠町の有機農家と、参加型の田植え、カルガモによる除草、そして収穫のイベントを行い、今回の高畠熱中小学校では、飯尾裕光さんと、カルガモの解体処理から最後カレー作りまで生徒と共に楽しんだ。まさに、有機農業の地で「食の熱中小学校」を実践しているのだ。
今回のインタビューは高畠熱中小学校の裏手にある、ブドウ棚が広がる、高畠町ののどかな山里にたたずむフレンチのお店「フルール・ドゥ・ソレイユ」の庭で行った。
種まきから収穫までシェフみずから愛情を込めて育てた、旬の野菜たっぷりのフレンチが評判で、隠れ家的なお店だ。
8年前にここ時沢地区の廃校再生を始めた時、このレストランがすぐ裏にあるなんて奇跡的なことだと感激し、入学や卒業の謝恩会に利用しオーナーシェフの佐藤さん一家にはお世話になってきた。
廃校の2階にある池田めぐみさんのオフィスの周りには、高畠熱中小学校の生徒さん達が育てているワイン用のぶどう畑、有機農業の農家さん、素材を大切にするレストランがある。
ここを拠点に、池田めぐみさんの ‘食のアスリートLab’ の活動はまだ始まったばかりだ。
池田めぐみさんのインタビュービデオはこちら: