第47章 花岡和佳男さんは食の未来を泳ぐ ‘本まぐろ’

「食の熱中小学校」の11月の授業は漁業の授業で、花岡和佳男さんにお願いしている。

 花岡和佳男さんはお父さんの仕事の関係で子供時代はマレーシアで育ち、そこでマングローブの自然生態系の環境を知る。日本の海関係の大学は漁獲を増やすという大学しかなく、米国フロリダの大学で海洋環境学及び海洋生物学を専攻した。

 卒業後、モルディブ、マレーシアで海洋環境保全事業に従事。マングローブの木を伐採しない海老の養殖事業を開発している。子供時代を海外で過ごし日本に戻って大学に入るといういわゆる帰国子女ではなく、のっけから太平洋周辺で活動している ‘新日本人’ だ。

 2015年7月に東京で(株)シーフードレガシーを設立し、持続可能な漁業を目指して流通、生産業へコンサルテーションを行ったり、政府へ政策のアドバイスをする立場になった。

2019年8月、とかち熱中小学校の授業で熱く語る花岡さん

 私は76年間横浜市の同じ家に住んでいて、20年くらい前までは家の近くに「生麦」という、東京湾のシャコや赤貝などを中心とした魚の市場通りがあった。ここで魚介類を買い、近くの寿司屋を愛用していた。その生麦の市場が廃れてしまってからは、今は横浜中央市場で魚を求めている。特にサーモン燻製用のチリ産を15年くらい買い求めているが、ここ数年、海外の日本食ブームで、解凍すればすぐに寿司種になる冷凍サーモンは価格が上がりっぱなしだ。コロナ禍で料亭などの高級魚が売れなくなって、魚市場の世界でも東京築地への一極集中も進んでいるのか、50軒近く店があった横浜中央市場は勢いがない。

 高級魚のみならず最近入荷が減っているのが、イワシやサンマ。温暖化もあって、日本の沿岸漁業は今後どうなっていくのだろうか?

 花岡和佳男さんには数年に一度、熱中小学校の授業でお会いする機会があり、その都度その活動に日本社会が追いかけてきている感じがする。

 今回のインタビューで学んだことだが、今から5年前に70年ぶりに漁業の基本的な法律である「漁業法」が改正され、資源の維持、増大を目指すことが明記されたそうだ。つまり、資源管理によってサステナブルな漁業に向かうことがこれから決まったそうなのだ。

 それに伴って関連業界も本格的に新しい戦略が必要になった。

 世界の漁獲量に占める養殖の割合は半分まで来ているが、自然に回遊する魚を必要かつ将来の資源も考えて復活させることが日本の漁業再建の王道で、養殖にも環境問題、生態系を壊さないような配慮が重要。養殖が増えることそのものも中身を見ていかなければならないそうだ。高齢化、縮小の一途をたどる日本の沿岸漁業を元気にする施策に期待したいものだ。

 花岡和佳男さんと今回お会いして、髪の毛を伸ばして ‘ちょんまげ’ にしているので、ちょっとお相撲さんに会っているような気がした。健康的に日焼けされたガッチリした体格は、魚に例えれば ‘マグロ’ のようだ!

 マグロの国際協調については、これまでの交渉の歴史に加えて長期的に捕獲可能増を目指して意欲的な計画があり、我が国では漁業再生のシンボル的な存在だ。魚にとっては回遊する海に国境がないように、花岡和佳男さんは ‘本マグロ’ としてこれからも縦横無尽に泳ぎ回ってください!

花岡和佳男さんのインタビュービデオはこちら:

東京で本年9月開校!「食の熱中小学校」のWebサイトはこちら

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