第40章 ‘すがすがしい農家ハンター’ 宮川将人さんが目指す持続可能な島づくり
宮川将人さんは、熊本県宇城市戸馳島にある宮本洋蘭の3代目、東京農業大学在学中にバックパッカーで13カ国を1人旅し、アメリカで「アンディ松井」さんという世界一の蘭農家の下で経験を積んだのち、家業の花農家を継いだ。自分は栽培、奥様がインターネットショップを手がけ「楽天市場ショップオブザイヤー2017」も受賞している。
最愛の夫人の名前は森水木(Forest-Water-Woodと素敵なお名前)さん、宮川さんは家族思いの44歳だ。
宮川将人さんとの出会いは2022年8月、熊本県人吉市での熱中小学校の先生をやっていただき、私も宮川さんの後に授業を受け持ったおかげで懇親会もご一緒した。人吉市の授業では近くまで来られていた、蒲島熊本県知事が突然顔を出されて、壇上にいた宮川さんとは良く知る仲のようだった。
花農家としてもユニークな活動をされていた彼を一躍有名にしたのは、2020年11月、TV番組の「情熱大陸」に ‘農家ハンター’ として紹介されてからだ。
「情熱大陸」の告知情報から抜粋すると:同級生のお母さんがイノシシ被害で農業のやる気を失っていることに地域の危機を感じ、‘農家ハンター’の組織を立ち上げた。
’農家ハンター’ たちは捕獲ワナの見回り負担を軽減する通信装置を導入。インターネットで捕獲のしかたやイノシシの生態を把握して、SNSを通じて成功だけでなく失敗をも共有することでプロの猟師も驚く捕獲実績を上げてきた。さらに、捕獲場所を自動で3Dクラウドマップ化し、ビックデータのようにイノシシの捕獲・出現状況からワナの位置を考えるシステムの運用もは始めた。(ここまで抜粋) つまり、熊本県のみならず鳥獣被害で苦しんでいる農家をITのできる世代が自弁で挑戦し ‘自分たちの土地は自分たちで守る’ という自助のすがすがしさと新鮮さでさまざまな賞を受賞してゆく。
これで、宮川さんの3代前からの花農家ビジネスは ‘農家ハンター’ のブランドと共に「食」の世界に参入することになった。イノシシの解体から販売まで手がける会社も起業し、‘九州ジビエ’ ブランド商品のみならず、季節の地元果実も ‘農家ハンタ―SHOP’ としてネット通販を立ち上げている。
食の新しいビジネスとしてのイチゴ栽培でも観光農園スタイルだけではなく、イチゴを鉢植えのまま家庭にお届けするという、蘭の世界で培った顧客層に展開しているのも他ではやっているところはないという。
宮川さんが5年ごとに新しいことに挑戦できるのは家族と信頼できる仲間のチームの力だ。2〜3年ぐらいの立ち上げ苦労の時期は、先達の教えを請い、他力を使っても最終的には自助努力で解決しながら次の挑戦ができるのはチームをまとめる彼の ‘人徳&行動力’ としか言いようがない。謙虚に教えを請うのは米国でのアンディ松井さんでの修業時代の苦労が生きているのだろうな、と勝手に想像してしまう。
さて、花、食に次ぐ3本目の矢は、戸馳島に世界中から大切なお客様が来てくれて、遊んで、宿泊していく環境作りへの展開なのだそうだ。
自分と家族と仲間がいる故郷の島を持続可能にするために、鮮度が命の宮川チームの挑戦が続いていく。TOBASE冒険島 ジビエツーリズム(https://gibier-tourism.farmer-hunter.com/)、最近少し都会の人たちが忘れていた日本人の親思い、子思い、仲間の連帯といったものを感じてもらえるこの「愛情鮮度の戸馳島」を、是非今度訪れてみたいものだ。
追伸:北海道白老町では、東京で開校する‘食の熱中小学校’の修学旅行地である、虎杖浜を宮川さんと訪問し、熱中小学校白老分校の教頭先生である米本智昭さんがご住職の「青峯山観音寺」でビデオ撮影させていただきました。
宮川将人さんのインタビュービデオはこちら: