第39章 寺本英仁さんが伝道師を超えた時
寺本英仁さんは常時戦場の毎日、考え続けて、走り続けて ‘A級グルメの邑南町’ づくりに成功した ‘スーパー公務員’ 1丁目1番地の人だ。
誰もやっていないこと、時流に逆らうことで起死回生の課題解決に邁進し、よくぞ「前例重視、横並び体質」の役場で公務員として成功されたものだ。
しかしコロナ禍がその成功を直撃し、レストラン再建の道筋が見えたあと、役場を退職されて(株)ローカルガバナンスを起業した。
最近出版した著書『A級グルメが日本の田舎を元気にする』によれば、10年かかったA級グルメ構想を3年で実現する方法を伝授してゆきたい、それで日本の田舎を元気にしていける、という信念を実現するそうだ。
それには、地方公務員の体質自体を変えていかなければならない。
新しい会社は、「今後は優秀な若い人材が役場にはもう来てくれない」ということを見ている。
‘危機感にあふれた’ 首長から3年の時間をもらって、若い職員の意識改革教育を請け負っていく。
すでに始まった3自治体のうち、長野県高森町は熱中小学校の授業を行ったことからのご縁ということだった。
著書では北海道鹿部町の職員 70人の半分、35人の若手職員の教育プログラム、数字の認識と課題の整理、発表とコミットメントという ‘壮大な’ 人財教育プログラムに立ち向かう寺本さんの覚悟が伝わってくる。これまでの寺本さんは ‘スーパー公務員’ という呼称もあえて否定せず、自分が先頭に立って走り、メディアを活用し、請われれば ‘伝道師’ として町づくりを牽引する立場を自認していたが、今挑戦しているのは ‘1人のスーパー’ に頼らない、役場ぐるみの底上げの請負人と言えるだろう。
さて、今回私は東京で立ち上げる「食の熱中小学校」のアドバイスを寺本さんから得たいと、北海道白老町で開催された「熱中小学校白老分校」の授業をする寺本さんを追っかけて参加した。
新しく東京に開校する「食の熱中小学校」の事務所探しをする中で、千代田区が運営している ‘ちよだプラットフォームスクウエア’ のオフィスに興味があって来週見学の申し込みをしていたところだったのだが、なんと寺本さんはその運営団体の役員をされていて、2人の知人が代表をやっていたのには驚いた。しかも寺本さんはそのオフィスビルの一角にある全国名産物のアンテナショップ運営にもかかわっておられるという。
何の気なしにフッと思いついて動くと人のご縁にぶつかる、こういう偶然の出会いがあると物事が一気に進んでいけることがある。
これがまたまた、ドキドキ、ワクワクする真実の瞬間なのだ。
寺本英仁さんのインタビュービデオはこちら: