第22章 教頭先生は ‘言いにくいことをズバリ言い’ ―長井保夫さんが大切にする原理原則とは
‘熊野’というウィスキーをご存じだろうか?
2019年に和歌山県上富田町で開設された「紀州熊野蒸留所」製造で海外市場から始め、今では日本でも手に入るようになった、レアな商品だ。クラフトジンは紀州熊野地区のボタルニカを含み、清冽な熊野の水がベースになっている。
紀州くちくまの熱中小学校の教頭である長井保夫さんは、プラム食品(株)の代表取締役会長で、梅ジュースの会社を引き継いで多角化を進めながら、ご子息を中心にした若者が梅酒で培ったアルコール醸造技術から、英国の原酒をベースにしたジンやウィスキーを立ち上げた。私も時々新製品をいただきながら、どこまで行けるのかな? と半心半疑だった時もあったが、今や6年たらずで海外でひっぱりだこのブランドになったという。
熊野古道の入口にあたるここ ‘口熊野’ にいると、ヨーロッパの観光客が多い。‘熊野’ というブランドのジンやウィスキー、神棚に備える ‘榊(さかき)’ というシリーズなど神秘性を感じさせるものが魅力なのだろう。
長井さんは、「海外どこに行っても説明のいらない商品 ‘ウィスキーやジン’ で勝負したい」と、 ‘紀州’ から世界に知られた ‘熊野’ の名で、少人数で欧米でのコンテストに一点突破して今のポジションにたどり着いた。
‘大人の社会塾’ 熱中小学校の学校の校長、教頭の役割とは、校長先生はフォーマルな役としてのご挨拶ができる方、教頭先生は生徒や関係者の皆さんに、辛口でも言わなければならない事を言える人、と考えている。その意味では紀州くちくまの熱中小学校(校長:金谷清道さん)の長井保夫さんほどの‘ はまり役’ はいない。
5年前開校当時は ‘長―い’ 教頭スピーチが定評であったが、最近は生徒の自主性に任せられるように成長、変身が著しいと聞いている(笑)。
ここで学んだのは ‘じっと我慢して自分より年下の皆さんに任せる’ こと(しかし見てられないシンドさ)。夜な夜なジンを片手に我慢したに違いない。
海外のお酒ビジネスを若者たちで築き上げたことを経験して ‘しなやか’ が信条になったのだろうか?
でも時々、原理原則についてこだわった議論する時間もいいものです。
長井保夫さんのインタビュービデオはこちら: