第18章 「踊りに大切なのは ’間‘ の感覚です」―岡秀昭さんと踊らにゃソンソン!

 熱中小学校丸森復興分校の各期の最終授業はこれまで、大間ジローさんの ‘ TEN-CHI-JIN ’ の演奏、碓井俊樹さんのピアノリサイタルと、音楽でとても盛り上がって来た経緯がある。3年目の締めとなる第6期の最終授業は、阿波踊りのレジェンドである岡秀昭さんと「とくしま上板熱中小学校(丸山力校長、近藤紳一郎教頭、瀬部昌秀事務局長)」の生徒さん達からなるお囃子隊15人をお迎えすることになった。

 岡さんは19歳で「娯茶平」に入連し、阿波踊りに情熱を注いで今年で62年。39歳で「娯茶平」7代目連長に就任し、ゆったりとした正調のお囃子に日本の古典芸能である能を思わせるすり足で魅せる娯茶平独特の踊り方「娯茶平調」を広め、4回も皇居にて阿波踊りを披露している。

 毎年全国の熱中小学校関係者が徳島に集合し8月12日には岡さんのご指導の下、‘熱中連’ で踊り込みをし、2019年にはシアトルでもお世話になった。

2019年7月、日本から90人以上が参加したシアトルでの Japan Fair

 とくしま熱中小学校があるのは、上板町は藍染めの原料となる ‘すくも’ を全国の60%を生産する地であり、学校の施設 ‘技の館’ には藍染め施設がある。ここで染め上げた法被を着て ‘熱中連’ に参加する。事務局長である瀬部昌秀さんは元四国大学生活科学科准教授で、阿波藍の歴史や文化を教えてきた方である。

 生徒さんと、藍の種を植え、スクモの製造、藍染めまで一貫した作業を行い、藍染めをマスターしたいと町おこし隊に参加する方々と熱中小学校の運営をしている。

丸山力校長を中心に2019年の ‘熱中連’。今年も8月12日が踊り込みの日だ

 さて、2023年3月18日(土)の丸森町はなんと雪になってしまった。前の晩遅くまでかかって生徒有志が作成した ‘歓迎 待ってました! 岡先生・とくしま熱中小学校のみなさん!!’ の横断幕を準備して阿武隈急行あぶくま駅(無人)で待ち構えてまずは震えながらのお出迎え。生徒さん達の車に分乗して、‘いなかみちのえき’ やしまや、丸森の藍工房 ‘野風’ との交流の後阿波踊り会場に到着した。三味線(2人)、太鼓(2種類3人)、鉦、横笛、そして踊り方指導の生徒さん達が阿波踊りの衣装で現れた。そして7チームによるコンテストを岡先生に採点していただいて、会場は雪を忘れて熱気にあふれた。

第1次限目授業のまきりかさんも ‘プラチナ連’ で踊り込み
お囃子隊は皆、とくしま上板熱中小学校の生徒さん
最後は全員で ‘同じ阿保なら、踊らにゃソンソン!’

 とくしま熱中のお囃子隊も、岡さんの前で恥ずかしくないような演奏を、といいながらそこは素人の方も多い。丸森サイドもにわか練習集団とはわかっていながら、岡さんは優しく、‘個性があっていいですね’ と褒めてくれる。

 岡さんが大切にしている、踊りの ‘間’ は観客を抱擁するかのように優雅な時間が流れて行く。

「阿波踊りの愉しさを、できるだけたくさんの人に体験していただくのが昨年連長を退いた私の使命」

と語る岡さんの顔は、満足感にあふれていた。

保科丸森町長も参加して、記念撮影で丸森熱中阿波踊り無事終了

岡秀昭さんの当日のインタビュービデオはこちら:

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